シリーズ「陶芸と人々」のインタビュー:陶芸家と先生、エリ・ムラトに聞く

シリーズ「陶芸と人々」のインタビュー:陶芸家と先生、エリ・ムラトに聞く

「陶芸と人々」第4回目のインタビューは、エリ・モレト。彼女は陶芸家であり、バルセロナのグラシアという地域で教室を開いている。

 

彼女の作品は、繊細な佇まいの中に素晴らしいクオリティを持ち、常に買った人の役に立つことを追求している。私たちにとって、彼女は日本語で言うところの*用の美(ようのび)、つまり実用の美を徹底している陶芸作品として良いお手本だ。

 

エリはアンナの師匠であり、私たち陶芸Tocotonにとって彼女は切っても切れない関係の人だ。

 

彼女の作品を見たい方、彼女のクラスについてもっと知りたい方は、彼女のウェブサイトpastafangs.blogspot.comやインスタグラムのプロフィール@eli_moretoや@pastafangsからどうぞ。

 

(作品の写真はエリ・モレトが撮影したもので、彼女の所有物です)

 

 

仕事

1.陶芸を始めたのはいつですか?

20歳のときに趣味で始めました。家で小鳥を作って、それを焼ける場所を探したんです。土の学校(今はもうない)に聞きに行ったら、先生は「陶芸をやったことがないと、作品の作りがうまくできているかどうかわからないから、あなたの作品は焼けません」と言われたんです。彼女は陶芸についていろいろと説明し始めましたが、その中で、作品の中に気泡があると、窯の中で爆発する可能性があると教えてくれました。私は驚いて、この機会に学校を見て、どんなことをやっているのか調べてみたんです。この時に私の中の何かが目覚めたのだと思います。

 

帰宅後、台所のオーブンで鳥を焼いたら、爆発したんですよ。私はすぐに先ほどの先生が正しかったことを理解しました!彼女の名前はマイテ・サンチョ。私は彼女のもとで陶芸を習い始めました。マイテは、私にとって常にとても重要な参考となるべき人です。陶芸家として、そして何よりも先生として。

 

2.どうして陶芸家になりたいと思ったのですか?

今の子どもたちは、好きなことをしなさいと言われます。一方、私の時代は、生計を立てるためには職業に就かなければならないと言われていました。明らかに陶芸は生計を立てるための職業ではありませんでした。陶芸とは関係のない職業を勉強し、同時に陶芸を学んでいました。ある時期から、陶芸に費やす時間を増やすようになりました。完全に陶芸に打ち込もうと決めたのは、30歳か35歳くらいだったでしょうか。もっと早くからやっていれば......と思いますが、こうなりました(笑)

 

3.作品のイメージを決める際に参考にするものはありますか?

歴史的なもの、考古学的なもの、伝統的な陶芸も私にとって重要な参考物であり、これには匿名の作家の物も含まれます。それらは陶芸の「ルーツ」であり、とても愛着があります。

それに加えて、私が参考にするのは、何よりも創造的なプロセスを理解する方法です。ルーシー・リーやハンス・コッパーの名前を挙げることもできるし、現代陶芸家ではマリア・ボフィルやイザベル・バルバを思い浮かべます。ロサ・アモロスやクラウディ・カサノベスも好きですね。彼らは皆、素材の可能性から仕事をするアーティスト。私はこのポイントに大きな価値を置いています。

ヘンリー・ムーアの言葉で、いつも心に留めているものがあるんです:素材と直接向き合ってこそアイデアを形にできる。

私が陶芸を学んだ学校では、粘土に触れることなく、絵を描いたり、字を書いたり......作品をデザインすることを常に求められていました。最初に理論的なことを全部やらなければならず、作品を具現化するのは最後まで終わらないんです。私にはそういうやり方は難しかった。粘土を触って、いろいろなことをやってみて、どうなるかを確認するまでは、理論やデザインを作品に取り入れることはできないと思います。私はどちらかというと、素材から発見したものから直接自分のアイデアを探すタイプです。まず手を動かし、それから自分にとって何が有効で何が有効でないかを分析します。この作業は作品の一部に以前私が考えたことがあるかもしれないという事実を排除していくというものではないのです。

粘土がどのように変形するのか、どのようにガラス化するのか、どのように収縮するのか、それぞれの粘土がどのような動きをするのか......そういったことを調べなければ、良い作品を作ることはできないんです。また、ある素材には限界があるため、できないこともあります。デザイナーがあるアイデアを持ってあなたのところにやってくるかもしれませんが、もしかしたら、その人が考えているようなやり方では陶芸はできない、と言わなければならないかもしれません。

 

4.作品に必要な品質とは何だと思いますか?

実用的なものであれ、芸術的なものであれ、何を目指すかによります。実用的な作品の場合、私にとって必要不可欠なのは、その機能性に適していることです。例えば、重たすぎる水差しを作っても、使うことはないでしょう。本当に実用的な作品であるためには、何を考慮しなければならないかを知らなければなりません。しかし、芸術的な要素を持つ実用的な作品を作ることもできます。

芸術的な作品の場合、私は特に、創作過程に信憑性があること、そして作品に、その作家独自の譲れない何かが反映されていることに魅力を感じます。



5.作品を作る過程で最も楽しいと感じるのはどのような部分ですか?

一番楽しいのは削りの工程です。粘土の種類は問いませんが、それぞれに個性があり、その多様性を楽しむことができます。私にとっては、それぞれの粘土を扱う際の違いを意識し、それぞれの作品で何ができるかを探求することが挑戦なのです。

 

6.いつも同じ泥を使っていますか?

大体はそうですね。陶芸家として素材を選ぶのは、仕事をすればするほど、その素材をより深く知ることができ、自分のやりたいことをよりコントロールできるようになるからです。私は通常、2つか3つの粘土を使います。

とにかく、陶芸をすればするほど、いつもの素材以外のどんな素材でも扱えるようになります。今までの経験は、今まで触ったことのない粘土を扱えるようにするのに役立ちますし、新しい素材を試すことはいつもとても豊かな経験です。私も時々やってみたくなります。

 

7.作品を発展させるために、他の芸術や工芸の分野に目を向けることはありますか?

美術館や展覧会、朗読会などを訪れたりすることは、私の創作活動に何らかの影響を与えることになると思います。

私はあまり計画的な仕事の仕方をしていません。作って、実験して、出てきたものの中から、何かを教えてくれるものを選び、残しておく。

このような直感的な制作方法においては、私が興味を持った他の芸術分野を参考した点がたくさん見受けられると思います。

 

8.普段はどんな作品を作りますか?

ほとんどが実用的な作品です。少し芸術的な作品を作ったとしても、基本はいつも実用的なものです。

 

9.次に作ってみたい作品は何ですか?

特にどんな作品というのは言えないんだけど......。どんな粘土で作りたいか、やってみたい作品は決まっているんだけど、やってみないとどこに行き着くかはわからないんですよね。ほぼ確実なのは、実用的な作品になるということです。

 

陶芸教室について

10.陶芸教室の内容を教えてください。

1つは作品を仕上げるための装飾技法を学びつつ、電動ろくろを使う通常のコースがあります。もう1つの集中コースでは、ろくろのほかに、釉薬の配合や塗り方などを教えています。

 

 

11.通常、1セッションには何人の生徒がいますか?

1セッションは最大6人までです。陶芸教室にはもっと多くの生徒が参加できるスペースがありますが、私は少人数のグループで作業するのが好きです。

 

12.様々な年齢の生徒がいますか?

はい、若い人から定年後の方まで沢山いらっしゃいます。

 

13.教室に来られる生徒さんはどんな人が多いですか?

とても多様です。定年した生徒もいれば、陶芸を習い始めたばかりの若者もいます。その中には、私と一緒に陶芸を始めてから、正式なコースで学ぶようになった人もいます。陶芸家になった生徒もいますよ!

 

14.生徒の勉強や作品作りは、工芸や美術、陶芸の世界と関係があるのですか?

そうとは限りません。陶芸教室には、修行をしたい人たちと同じくらい、自分自身を見つめ直したい人たちも参加します。生徒の中には、自宅に工房やろくろを持っている方もいらっしゃいますよ。

 

15.生徒が初めて陶芸をするとき、どんな反応が多いですか?

それはもう、人の数だけあります!本当に圧倒される人もいれば、ろくろにノリノリになる人もいます(笑)。

 

16.粘土を使うことで、自分自身の身体とつながることができると思いますか?

これは人によりますね。私の場合は、その時々によります。たくさん繋がるときもあれば、もっと生産的な仕事をしているときもあるし、他のことを考えているときもある。最も創造的な瞬間には沢山自分自身の体と土が繋がっている感覚があり、より決定的な瞬間にはあまり繋がりがないようにも見えます。

生徒たちに関しては、あらゆることが少しずつあるようです。ろくろはガラス玉のよう。手を合わせるだけで、それぞれの個性がたくさん反映されるんです。すでに身体とのつながりが強い人もいれば、そうでない人もいる。でも、これは粘土がどうこうということではなく、結局のところ、それぞれの人が人生の他のどんなことにも関係しているのと同じように、粘土を通して陶芸に取り組んでいるのだと思います。

自分の身体や素材の反応に耳を傾けることに慣れていないために、困難を抱える生徒もいます。その一方で、ろくろをやったことがない人が、初めてろくろをやってみると、手の間で何が起こっているのかをとても意識しているので、うまくいく人もいます。とても興味深く、自分自身の身体をうまく使えるようになる不思議な瞬間ですよね。

自分自身の身体を制御し、はっきりと意識するということは、ろくろの習得を上達させるために非常に役立ちます。

 

17.自分の手で、後で使えるものを作ることが重要だと考えますか?

もちろん!私が実用的な作品を作る理由のひとつがそれです。私にとって、創作を通して他者とのつながりを持つことは、とても重要なことなのです。そしてこのことは必然的に、制作に加えて内省することが必要であることを意味しています。ただ、作りたいから作るんじゃない。私たちはとても簡単に醜くて、不要なものを作ってしまいやすいんです。

 

18.先生として最も満足することは何ですか?

窯から出てきた作品が生徒さんに喜んでもらえたときが一番うれしいです。でも一番好きなのは、生徒の成長と進化を見るときです。初めて窯に来たときは粘土の中心も定まらなかった人たちが、今では一人で上手に作品を作っているのを見ると、とても満足感を覚えます。自分のやっていることが役に立ち、相手が楽しんでくれているということ。それ以上のことなんて何も望みません!

 

19.陶芸をやりたいけれど、うまくできないだろうと思って挑戦できずにいる方にアドバイスをどうぞ。

陶芸をやったこともないのにそう考える人には、もしかすると偏見があるかもしれません。やってみないとわからない。本当に楽しくて、お金がかかってもやりたいと思うなら、やればいい! しかし、オープンマインドであること、道のりが厳しいこと、そして何よりも失敗もうまくなるための工程の1つであることを理解することが重要です。

私にとって重要なのは、自分がやっていることを楽しいと感じ、たとえうまくいかなくても楽しい時間を過ごすこと。やりたいと願う気持ちと忍耐があれば、作品はいずれ完成します。ひねりを学ぶことはダンスを学ぶようなものです。まずは踊り出すことでダンスを学ぶことができるんですよ。

 

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