「 陶芸と人々」シリーズのインタビュー。セリア・ピと日常の陶器

「 陶芸と人々」シリーズのインタビュー。セリア・ピと日常の陶器

「陶芸と人々」シリーズ第3回目のインタビューは、アンナの祖母、セリア・ピさんです。彼女の家にある陶器は、長い間大切にされてきたもので、それぞれにいろいろなエピソードがあります。セリアさんがどんな陶器を何に使っているのかを知り、日常生活で使っていける実用的なものとは一体どんな物なのかを考えていきます。



家にある陶器のオブジェは、あなたにとってどんな価値がありますか?

アンティークだから価値があるものもあれば、思い出が刻まれているから大切なものもあるわ。どれも大切にしていますよ。祖父と一緒に買った器があるの。数日前、娘のマイテが楽しみにしていた食事の支度をするために、使ったわ。

コーヒーセットも購入後、ずっと愛用してるわね。
あとは、ものすごく大きな男の人からもらったお皿もあるのよ。
彼はそのお皿をアメリカに持って行って、またスペインに戻ってきたんですって、お皿と一緒に!



割れてしまったものはありますか?


そうね、娘が陶器のデザート皿を割っちゃってね。悲しかったけど、また買えばいいだけのことだから。



この食器たちは高級品なんですか?

いいえ、普通の食器よ。もちろん誰もが持っているものではないと思うけど。チェックのテーブルクロスをテーブルに敷くと、より親しみやすい雰囲気になるの。65年前、私が結婚した頃の食器は磁器製で上質なものが多いわ。
クリスマスのテーブルセッティングに使っているわね。


では、テーブルで使うものによって、雰囲気が変わると思いますか?

もちろんそうね。その日の気分やパーティーの内容によって、使うセットを選ぶの。例えば、以前は友人が来るときは土鍋を使って、トマト入りのパンや黒豆入りのプディングなどを用意したわ。それに合わせてテーブルクロスも選んだしね。磁器の食器は、どちらかというと大切なパーティーの時に使うことが多いわね。



食器セットの話を続けますが、特に気に入っているものはありますか?


特に好きなものというのは、無いわね。だってそれぞれに色んな思い出があるから。



陶器を誰かにプレゼントしたことはありますか?

息子のジュアンは私があげたお肉を焼くためのキッチンセットを持っているわよ。お皿、ソースパン、ソースボートがセットになっているやつ。彼のおじいちゃんが作ったツゲ材のフォークも贈ったわね。


土鍋で作る料理が好きだとよく話してくれますよね。どうしてですか?

料理がとてもおいしく仕上がるからよ。昔、農家の叔父さんの家に行くと、豚を屠殺して大きな土鍋に全部入れたの。ピーマンやトマトなどの野菜も入れたわ。それを調理して、同じ鍋に保存しておいた。屠殺は1月か2月に行われて、9月の聖ミカエルの日に食べたのよ。美味しかったわ。鍋は調理と保存、どちらにも使われたの。まるで保管庫みたいなものよね。




工場で作られた作品と手作りの作品には違いがあると思いますか?

違いはたくさんありますよ。工場で作られたものはいつも同じものが出来上がるけど、手作りのものはそうではないでしょ。同じものを2つ作るのはとても難しいはず。工場では、どのようにしているのか分からないけれど、きっと決められた流れで作っていくのよね。それに比べると手作りの作品は、プレートごとに、カップごとに...ひとつひとつ作らなければなりません。私としては、手作り作品の方が価値があるわね。



なぜミニチュアカップのセットを持っているのですか?とても小さいものだから、コーヒーを飲むのに使うことはできないでしょう?

トーレブランカ(ずっと住んでいた家がある場所)に引っ越したときにすでにあったのよ。何のためにあるのかは、実はわからないわ。素敵な雰囲気を作るためかもしれないわね。コーヒーポット、ティーポット、シュガーボウル、ミルク差し、グラス...色々あるわね。




ダイニングルームを飾るピッチャーは、どこから来たものですか?

両親から譲り受けたベルドゥのものがあるの。もうひとつはアルジェントーナの水差し市で買ったものよ。


*ヴェルドゥとアルジェントーナは、カタルーニャ地方で陶器に関して長い伝統を持つ町です。



他にはどんな作品がありますか?

バルコニーには、ゼラニウムを植えた大きな鉢があるわ。妹からもらった陶器のオブジェもあるし。鉢を持った女性と名付けたの。ドアの上にぶら下がっているスパイスラックは、アンティークショップの人からもらったものよ。




お持ちの作品にまつわる逸話を教えていただけますか?

そうね、最初にお話した大きなお皿にまつわるものがあります。桃の木のある果樹園を持っていたおじいさんからもらったのよ。そのおじいさんと奥さんが私にとても感謝してくれた時、お皿いっぱいの桃をくれたの。私は彼に、お皿は素敵ねと言ったのよ。すると彼は、もし私が気に入ったなら、もう一枚持ってくるよって言ってくれたの。そのお皿はカタルーニャで作られたもので、おじいさんが数年間アメリカに住んでいた時に一緒に持って行って、カタルーニャに一緒に戻ってきたのだと説明してくれたわ。そのお皿は120年以上前のものだったのよ。まるで、旅するお皿ね。

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